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認知症について

認知症は単一の病気ではなく、記憶・思考・日常生活の能力に支障をきたす状態の総称です。現在の医学では完治は困難ですが、症状を和らげたり進行を遅らせたりする治療が可能なものや、原因を取り除くことで大幅に回復が見込めるものもあります。早期の適切な診断が非常に重要です。

1. 主な認知症の種類

アルツハイマー型認知症
最多:60〜80%

  • 特徴:65歳以上の女性に多く、アミロイドβなどの異常タンパクが脳に蓄積して細胞を死滅させる
  • 経過:初期は最近の出来事の物忘れから始まり、徐々に判断力・言語の障害、末期には身体機能の低下へと進む
  • 注意:65歳未満の「若年性」では、物忘れよりも視覚異常や動作のぎこちなさが先に出る場合がある

血管性認知症
2番目:15〜20%

  • 特徴:脳梗塞や脳出血により、脳細胞がダメージを受けて発症。高血圧・糖尿病などの持病がある方に多い
  • 経過:脳卒中の後に「突然発症」したり、段階的に悪化することが特徴
  • 症状:記憶力は比較的保たれていても、意欲の低下・歩行障害・感情のコントロールが難しくなることが多い

レビー小体型認知症
診断が見逃されやすい:20〜30%

  • 特徴:レビー小体というタンパク質が脳に蓄積。幻視(ないものが見える)や、日によって頭がはっきりしたり混乱する「変動」が特徴
  • 症状:手足の震え・筋肉のこわばり(パーキンソン症状)、寝言で暴れる(睡眠時行動異常)なども見られる
  • 注意:一部の精神病薬に対して非常に敏感で、副作用が出やすい

前頭側頭型認知症
若年性の主要な原因

  • 特徴:60歳前に発症することが多く、脳の前方(前頭葉・側頭葉)が萎縮する
  • 症状:物忘れよりも先に「性格の変化」や「社会的なルールの逸脱」、同じ行動を繰り返すといった症状が目立つ

2. 改善が期待できる認知症(二次性認知症)

重要:別の病気が原因で認知症のような症状が出ているケースです。原因となる病気を治療することで、症状の改善や大幅な回復が見込めます。

  • 正常圧水頭症:脳の周りの液体が溜まる病気。手術で歩行や認知機能が劇的に良くなる可能性があります。
  • 慢性硬膜下血腫:転倒などで頭を打った後、脳の表面に血が溜まる病気。血を取り除く処置で改善します。
  • 内科的疾患:甲状腺機能の低下、ビタミン欠乏(B12、葉酸など)、深刻な栄養不足
  • お薬の影響:複数の薬の飲み合わせや副作用(特に睡眠薬や鎮痛剤など)
  • 心の病気:高齢者のうつ病(仮面認知症)により、認知機能が落ちているように見える状態

3. 症状別 考えられる主な疾患

症状 考えられる主な原因
最近のことを忘れ、同じ質問を繰り返す アルツハイマー型、ビタミン欠乏、うつ病
急に混乱し始めた、急速に悪化した お薬の副作用、感染症、脳腫瘍、硬膜下血腫
歩きにくさ、尿漏れ、物忘れが同時にある 正常圧水頭症、血管性認知症
そこにいない人や動物が見える(幻視) レビー小体型認知症、パーキンソン病認知症
性格が変わり、身勝手な行動が目立つ 前頭側頭型認知症(特に60歳前後)
言葉が出てこない、意味が通じない アルツハイマー型、前頭側頭型(失語型)
強い眠気、いびき、日中の集中力低下 睡眠時無呼吸症候群

4. 専門医への受診が重要な理由

  • 「隠れた、改善可能な病気」を見逃さないため
  • 現在の症状を和らげ、進行を穏やかにするため(内科的疾患を併発していることが多い)
  • 統計によると、認知症様症状の原因のうち、お薬の影響(28%)・うつ病(26%)・代謝異常(16%)など、改善が見込めるケースが大きな割合を占めています。

医師からのメッセージ

「最近、物忘れが増えたのは年のせいだろう」と、ご自身やご家族だけで判断し、諦めてしまうことは少なくありません。しかし、専門医による詳しい検査を受けることには、その後の生活を左右する非常に大きな意味があります。まずは原因を正しく特定し、現在の状態を正しく理解することが、ご本人とご家族の安心した生活を守るための第一歩です。

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